ANRI[杏里]公式サイト|anri-box.com

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杏里スタイル
対談シリーズvol.2 ゲスト:坂田俊文(東海大学教授・工学博士)

坂田俊文 対談シリーズの第2回は、画像情報工学のパイオニア、坂田俊文教授の最も得意とする地球の話。坂田先生のご専門である人工衛星はまさに“神の目”で、人工 衛星の目線で地球を見ると、自然の変化、環境の変化が手に取るようにわかるのだそうです。先生の秘密兵器とも言うべき、ミニチュアサイズの地球儀を取り出してのお話に、杏里もすっかり引き込まれ、その博学ぶりに感動!

第2回 『 地球の力 』

杏里:最近、環境問題がクローズアップされてきて、そういう番組も増えてきていますね。今年になって、アメリカのゴアさんも来日をして、環境問題に対して、映画のプロモーションも含めて、活動してましたね。そういう意味では世界規模で環境問題が本格的にいろいろな角度から動き始めているような気がしますが…。

坂田:ゴアさんが副大統領の時…… 10年前かな、『GOIN』( Global Observation Information Network )という協定ができたんですよ。日米間で情報を交換するという協定ね。あの頃と比べると、環境問題の原因も様変わりしてますね。あの頃は、炭酸ガスとか、オゾンとか、フロンが問題になったじゃないですか。今、あんまり聞かないでしょ? どうしたんでしょうね?フロンガスがあんなに問題になったのに。

杏里:そう言えば、最近は全然聞きませんね。あの当時は、ヘアメイクさんがヘアスプレーを使わなくなったり、私の周りでもいわゆるフロンガスが出るものはなるべく使わないように意識はしていたんですけれども、フロンガスがオゾン層を破壊するという問題に関して、今はどうなっているんですか?

坂田:フロンガスっていうのはね、冷蔵庫なんかに使われていて、ガスとしては使いやすかったんですよ。だけど、酸素を壊す性質をもっているんです。だから、そういう意味で、フロンは悪いってことだった。太陽から光が来ると、たくさんオゾンができます。そのオゾンがあると、太陽の光の中の“紫外線”をガードしてくれるから、オゾンはあった方がいいわけ。そのオゾンを、フロンが壊しちゃう。酸素を食べちゃうからね。フロンがオゾンを壊すと、紫外線が増えて、火傷になっちゃう……なんて極端なことを言うから、みんな恐ろしがったわけですよ。

杏里:たしかにあの当時はオゾンホール崩壊という事に関しては皆さんとても敏感になっていたような気がします。私も数年前にレコーディングでオーストラリアに行った事があるんですが、ちょうど紫外線が一番強い時期で、陽射しが異常に強かったのを覚えています。あまりにも陽射しが強すぎて、移動の車に乗っていても車内で日焼けするくらいの強さだったので車の窓から車内に陽射しが入らないように黒い幕を貼り付けたんですが、身体の一カ所に灼けるような熱さを感じた んです。ふと布を貼った窓を見ると小さな穴があいていて(五円玉くらいの穴の大きさ)その穴からの陽射しがあたった部分だけ、火傷するぐらいの熱さを感じ た事があったんですよね。それでそこをまた別の布で貼り付けました。ニュージーランドも含めてですが、オーストラリアに関しては随分前から紫外線に関して深刻な問題になっていますよね。

坂田:確かに紫外線の問題はありますね。でも、その原因として、フロンによってオゾンが減って、オゾンホールができるって当時は言ってたでしょ?あのオゾンホールって、どこにできるんですか?南極ですね。ちょっと、地球儀あるかな?(と、持ってきた、手のひらに乗るくらいの小さな地球儀を取り出す)

地球儀

杏里:あっ、これ先生の地球儀ですね。先生の武器!この地球儀は、私も先生からいただいて、とても大切にしています。

坂田:これは、1億分の1の地球儀なんだけど、地球って、こうやって回ってるじゃないですか(と、地球儀を回転させてみせる)。で、太陽が当たると、太陽の熱で水が蒸発するから、雲になるんです。太陽がいちばん強く当たるのは赤道ですよね。だから赤道の上にはホラ、雲がいっぱいある。(青い地球儀には、雲の分布が 描かれています)

杏里:ああ、ホントですね!

坂田:でも、海でできる雲と、陸でできる雲は違うの。なぜかっていうと、陸は水が少ないじゃないですか。海は水がたくさんあるから、雲がどんどんできるわけね。でも、地球は回っているでしょ。フワフワと軽い雲は、吹っ飛ばされちゃう。北極や南極の方にね。雲は軽い上に吹っ飛ばされるから、どんどん上に行く。で、温度が下がって重たくなると、下に下がって雨になるんです。だから、赤道から浮き上がったときは暖かいからうんと吹き飛ばされて、途中の中緯度地帯では、雨にならずに雲のままなんです。

杏里:なるほど。(地球儀の雲の分布を見て納得!)水が蒸発して雲になることは学校の理科でも習いますけど、地球の雲の分布が、自転と関係があるというのは、初めて知りました。こうやって雲の分布や地形が描かれた地球儀を見ると、本当にそれがよくわかりますね。

坂田:雨雲ってどんな色してますか?

地球儀

杏里:グレーっぽいですね。

坂田:グレーっぽいでしょ?なぜかっていうと、太陽が見えないから。光が抜けると、雲は白く見えるの。だから、秋になると雲が高くてきれいじゃないですか。水分が小さいからなんですね。

杏里:秋晴れですね。

坂田:そう。で、重たくなると、水分が大きくてグレーになる。黒っぽくなるんです。雨雲って真っ黒でしょ?あのときの雲の高さは 300mから 500mくらい。秋の雲は 8,000m から1万mくらいです。高さが違うんですよ。それが場所によって違いますから、雲が飛ばされてしまう途中のところは、雨が降らないから水が少ない。だから剥げっちょろけで……砂漠なんですよ。ほらね!(と、地球儀の砂漠地帯を指さす)地球は、赤道を中心に、南半球と、北半球と同じような気候なんですね。ただ、大陸があるとないとで、現象は変わって見えますけどね。さて、それでフロンの話ですけど、フロンは北半球と南半球のどちらに多いですか?

杏里:北半球ですよね。

坂田:そうですね。電器製品が多いのは北半球ですからね。

杏里:以前に人工衛星からの映像を見せて頂いたとき、地球の、電気を使っている地域が赤く見えるのに驚いたことがあります。日本列島がくっきりと赤く光っていて。ロサンゼルスも真っ赤に輝いていました。あれにはびっくりしました。まるで、何かの警告のように見えましたね。

坂田:そう、フロンも電器製品に関係ありますからね。フロンって重たいんですよ。ガスは普通上に行くんだけど、フロンは重いから下がっていく。でも、地球の回転するスピードは、赤道がいちばん速いわけですよ。上下のスピードの方が遅い。球ですから。で、北極や南極では0でしょ。緯度によって回転速度が違うんですね。で、フロンみたいに重たいガスは下に下がりますね。でも、スピードのいちばん早い赤道を越えて、南半球まで行きますか?そう簡単に行けるわけないですよ。ゆっくりと拡散して時間がかかります。その他の色々な気体も混じっています。だから、フロンだけが原因じゃないんです。原因は別にもあるんです。北極 や南極にホールができるのは、回転軸の中心だから。軸の中心だから、雲が引っ込むの。コップに水を入れて、スプーンでかき混ぜると、真ん中が引っ込むでしょ?それと同じです。周りの雲は遠心力で引っ張り上げられて、いちばん上は 12,000mぐらいあるわけ。で、オゾンホールは平均すると、毎年10月13日がいちばん薄いんですよ。2月になると、倍ぐらいの厚さになっちゃう。なぜかっていうと、南半球は夏で温まるから。太陽の光で起きる化学反応が変わってしまう。

杏里:なるほどねえ、オゾン破壊はフロンだけが原因ではなかったわけですね。だから、最近では全く騒がない。

坂田:そうなんです。地球を外側から見ると、そういうことがよくわかる。それでもね、北の方の色の白い人たちは、できるだけ光を受けて、ビタミンを増やそうとするから、皮膚が光が透過しやすいんですよね。それから、人間の皮膚っていうのは、光が当たると保護するために、皮膚の下の袋に、皮下脂肪を保護する粒が入っていて、光の刺激を受けると、その粒が上に出てくるんです。これがメラニン色素。

杏里:ああ!メラニンですね、日焼けの。

坂田:そう、日焼けです。

杏里:私も日焼けしやすい体質なんで、赤くならずにすぐ小麦色になる方なんです。

坂田:で、ずっと光が強いところにいると、遺伝的に色素が出たままになっちゃう。だから、肌の色が黒いの。でも、そういう人たちが北の方に行くと、色が薄くなるんですよ。

杏里:環境で、肌の色も変わるんですね。

坂田:ほら、また自然に出てきたじゃないですか、環境問題が(笑)。

杏里:じゃあ、色の黒い人も、北に行けば、随分時間がかかるでしょうけど色が白くなるんでしょうか?

坂田:なります。でも、何世代かしないとダメですけどね。遺伝性ですから。だから、こうやって環境で話を拡げていくと、人類の問題だったり、遺伝子の問題だったり、食べ物の問題だったり、いろんなものがあるんです。

杏里:本当に、先生のお話は面白いです。どんどんお話しの幅が拡がっていって、今日だって、いつの間にか環境と遺伝のお話しになっていますよね。

坂田:地球と言えば、子供達によく話すんだけど、地球が1回回ると 24 時間ですね。じゃあ、なぜ 24 時間なの? 誰がそう決めたの?

杏里:誰でしょう……先生だったりして?(笑)

坂田:残念!地球が24時間で回るっていうのは、フランス人が中心になって決めたんです。フランス革命の頃から、だんだん地球のことがわかってきたわけ。400年前に、ガリレオ・ガリレイが「それでも地球は回る」って言ったんだけど、それは頭の中での考えなのね。実際に地球が回ってるのを見たのは、誰だか知ってますか?

杏里:初めてロケットに乗って宇宙に行った、ソ連(現在のロシア)の宇宙飛行士のガガーリンですね。「地球は青かった」っていう名言がありますね。

坂田:そうですね。あのとき「地球は丸くて回っていた」って言ったら、彼は物理学者でしたよ(笑)。で、何で24時間にしたかというと、その頃は12進法なんです。で、まず地球の直径を太陽の影をもとに測って、まあ、100年くらいかかって測ったのです。で、測るというラテン語が「メートル」っていうんです。人の歩く1歩の歩幅をだいたい1m に決めたの。その100分の1……100はセンチュリーだから「センチメートル」。1000 分の1は、1000がミレだから「ミリメートル」。そうやって、基準を決めたんですよ。それまでは、国によって単位はバラバラだったから。日本でも、鎌倉の大仏と奈良の大仏と大きさが違うでしょ?鎌倉の大仏は約12m。奈良の大仏は約 16mなんです。で、なぜ違うんだろう?って調べたら、鎌倉の大仏は13世紀、奈良の大仏は7世紀に作られてる。時代によって尺度が違ってたのね。飛鳥時代の尺度と、唐の文化が入ってきた7世紀以降の尺度と。飛鳥時代は周の国 の尺度。着物は呉服っていうでしょ?呉から来た服だから。それまでの日本人は、貫頭衣というのを着てたんです。そうやってみると、自分たちがどういう生活をしてきたか、風俗とか習慣を調べるとわかりますね。風俗や習慣は、その生活空間に合わせて導入してる。だから、岩とかに住んでたのはヨーロッパの文化なわけですよ。レンガ造りとか石造りとか。アジア地区はそういう材料がないから、木を使った。

杏里:気候はどうだったんですか?最近、温暖化が問題になっていますが、昔の日本の気候は今と比べて高かったんですか?それとも低かった?

坂田:高かったんです。縄文初期の人口は、今の青森あたりがいちばん多かったの。関西は住みにくかった。それが、温度の変化で北の方がだんだん寒くなって、2,000年~3,000年前に人口が中央に移ってきたんです。

杏里:ずいぶん、変化してきてるんですね?

坂田:こういう話からもわかるように、時間と共に、地球の環境は変わってきてるんですよ。ものすごい変わり方です。今、地球の温暖化で大騒ぎしているけれど、今から50年前ぐらいの鹿児島の平均温度が仙台ぐらいまできてる。温暖化、温暖化と言っても、50~100年かかってる。1万年前くらいは、青森が暖かかったでしょ?海の水位も高かったのね。だから、遺跡が山の縁にある。貝塚が山にあるんですよ。つまり、そこまで海だったわけですね。

杏里:日本はもっと海の中に沈んでいたということですね。その分地形も違う。今、地盤の沈下だとか、地球の温暖化だとか、いろいろな問題が全てごちゃ混ぜに語られているけれど、実はそういう地球の変化は、今に始まったことではなくて、昔もあったわけですね。そういう事も知って、環境をどう守っていくかということを考える必要がありますね。

坂田:そうなんです。今、数センチで大騒ぎしてるけど、昔は100mとかの単位で高かったんだからね。ただ、時間が何万年とかかかってますけど。だから、環境問題というのは、時間軸がものすごく長いんです。地球ができてから、今日に至るまでの話ですから。ただ、いちばん大きな変化は、人間が知恵をもって、近代化が起きたということ。19世紀ぐらいの話ですね。そこから急速に変化が進んでいる。このあたりから、いろいろ考えていくと、これからやるべき事が見えて来るんじゃないですか?

杏里:そうですね。近代化によって、エネルギーの浪費の問題もクローズアップされていますし。私は 子供の頃から、親の躾で電気は付けたら消す事が習慣づいていて、夜は、自分がいる部屋以外は真っ暗にしているんです。エアコンも一年を通してなるべく使わないようにしていたり、一人一人が日常生活の中で気に留めて置く事で随分といろいろな問題が変わって行くのではないのかなとも思っています。

坂田:そうですね。何でも便利になって、無駄遣いを気にしなくなった。ものを大切にしなくなりましたね。

杏里:昭和の時代は食べ物でも残したらもったいないだとか、「もったいない」という言葉がごく普通に使われていた時代だったけれどもそういうのが最近はあまり聞かなくなったと感じるのは私だけでしょうか?

坂田:僕もそう思いますよ。必要のないものが多すぎる。

杏里:さっきの電気の話も同じで、付けっぱなしにしていると親に注意を受けていたし、高度成長期のまっただ中の昭和という時代に生まれて、親の躾の中に、物を大切にする事だったり、節約以前の言葉が当たり前にありました。そのおかげで、今でも細かい節制が無理なく自然にできる自分は、ラッキーだったかなと思っています。

坂田:そうですね。そういうことをちゃんと教えられて育ったことは、とても素晴らしいことだと思いますよ。じゃあ、次は、エコの話をしましょう。僕が考えるエコロジーな街作り計画をお話ししますよ。

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